魔法使い時々王子

アリスは自室に戻ると、ルーナがすぐにお茶を用意してくれた。

湯気の立つカップを手に取り、一息つく。

「アリス様」

ルーナが、少し控えめに口を開く。

「本当に、ローズ様にお手伝いをお願いするのですか?」

「ええ、少しだけよ」

アリスは穏やかに答える。

「エレオノーラ様に一度ご確認を取られた方がよろしいのでは……」

その言い方は丁寧だが——
どこか、慎重さが滲んでいた。

アリスはカップを置き、ルーナを見た。

「……ローズのこと、苦手なの?」

「いえ、そういうわけでは……」

言葉を濁すルーナに、アリスは思わずくすっと笑う。

「ふふ」

その反応に、ルーナは少しだけ困ったように目を伏せた。

ローズは、本当に人懐っこくて賑やかだ。

きっと誰とでもすぐに打ち解け、自然と人の輪の中心にいるような人。

(……私とは、正反対ね)

そう思う。

けれど——

不思議と、嫌ではなかった。

むしろ。

(……気が合いそう、かも)

ふと、リトの言葉を思い出す。

その意味が、少しだけ分かった気がした。