魔法使い時々王子

「ほお、星晶ですか?」

ノエルが少し首を傾げ、不思議そうにリトを見る。

「詳しく調べたいんだ」

リトは簡潔に答えた。

ノエルはそれ以上踏み込まず、穏やかに頷く。

「概要だけならまとめた資料がございます。正式な古文書ほど詳細ではありませんが」

「それで大丈夫」

リトは満足そうに言った。

そのやり取りを眺めながら、アリスは気づく。

リトがノエルを、相当信頼しているということに。

「アリス様は何かお探しの本はございますか?」

柔らかな問いかけ。

「私も……星晶の資料を見せてもらいたいです」

ノエルはわずかに目を細めた。

「おや、お二人とも星晶ですか。そういえば、星祈祭が終わったばかりですね」

「ノエルさんは参加しなかったのですね?」

アリスの問いに、ノエルは一瞬だけ間を置く。

「ノエルとお呼びください、王太子妃様」

「じゃあ、私もアリスで」

少しだけ空気が和らぐ。

ノエルは微笑んだ。

「では、アリス様」

そして、穏やかな声音のまま続ける。

「星祈祭の頃、私は王都を離れておりました。王妃様のご用命で、地方の聖堂を巡っていたのです」