執務室を出ると、廊下の空気が少しひんやりしていた。
ダリウスは軽やかな足取りで先を行き、シドは少し距離を置いてその背中を追う。
昼下がりの陽が差し込む中庭を抜けると、近衛の訓練場は静まり返っていた。
ダリウスが使うと聞いて、兵士たちは場所を空けたのだろう。
「まさか、君が剣を嗜んでいるとは思わなかった」
鞘を抜きながら、ダリウスが口元に笑みを浮かべる。
「試してみたくなったんだ。君の腕前をね」
シドは軽く苦笑した。
「……お手並み拝見されるほどのものではございませんが」
「そうかな? 立ち方がすでに素人ではない」
シドは答えず、静かに剣を抜いた。
薄い銀の刃が陽を受けて淡く光る。
「……では、失礼いたします」
「うん。手加減はなしでいいよ」
その言葉を合図に、二人は構えた。
風が一度、草を揺らし――音が止む。
次の瞬間、鋭い金属音が訓練場に響き渡った。
ダリウスは軽やかな足取りで先を行き、シドは少し距離を置いてその背中を追う。
昼下がりの陽が差し込む中庭を抜けると、近衛の訓練場は静まり返っていた。
ダリウスが使うと聞いて、兵士たちは場所を空けたのだろう。
「まさか、君が剣を嗜んでいるとは思わなかった」
鞘を抜きながら、ダリウスが口元に笑みを浮かべる。
「試してみたくなったんだ。君の腕前をね」
シドは軽く苦笑した。
「……お手並み拝見されるほどのものではございませんが」
「そうかな? 立ち方がすでに素人ではない」
シドは答えず、静かに剣を抜いた。
薄い銀の刃が陽を受けて淡く光る。
「……では、失礼いたします」
「うん。手加減はなしでいいよ」
その言葉を合図に、二人は構えた。
風が一度、草を揺らし――音が止む。
次の瞬間、鋭い金属音が訓練場に響き渡った。



