昼下がりの執務室。
窓から差し込む光の中で、シドは書類に目を通していた。
魔法省の空気はいつも静かで、紙をめくる音とペン先の走る音だけが響いている。
扉が控えめにノックされ、執事の声がした。
「ダリウス様がお見えです」
シドは顔を上げた。
ロザリアが紅茶を置き、興味深げに眉を上げる。
扉が開き、ダリウスが姿を現した。
軽装の上着に剣帯を下げ、どこか爽やかな笑みを浮かべている。
「お邪魔しているよ、ロザリア。少し彼を借りてもいいかな」
「理由を聞いても?」
ロザリアが楽しげに問うと、ダリウスは短く笑った。
「ちょっとした興味だ。剣の腕を確かめてみたくてね」
その言葉に、シドは小さく目を瞬いた。
「……私の、ですか?」
「そう。君の剣の噂は近衛たちの間でも有名だ。実際のところ、どれほどか試してみたいと思っていた」
シドはちらりとロザリアを見やった。
彼女は手を止め、ゆるく笑みを浮かべる。
「行ってらっしゃいな。どうせ今の書類はエドが確認するところで止まってるし」
「……承知しました」
シドは立ち上がり、腰の剣に手をやった。
ダリウスは満足げにうなずくと、軽く頭を下げる。
「それでは、練習場へ案内してくれ」
ロザリアは紅茶を口に運びながら、ひらひらと手を振った。
「無茶はしないでね、どちらも」
その声を背に、二人は執務室を後にした。
廊下を進むたびに、遠くから近衛兵たちの掛け声が聞こえてくる。
陽の光が差し込む扉の向こう――そこが、彼らの次の舞台だった。
窓から差し込む光の中で、シドは書類に目を通していた。
魔法省の空気はいつも静かで、紙をめくる音とペン先の走る音だけが響いている。
扉が控えめにノックされ、執事の声がした。
「ダリウス様がお見えです」
シドは顔を上げた。
ロザリアが紅茶を置き、興味深げに眉を上げる。
扉が開き、ダリウスが姿を現した。
軽装の上着に剣帯を下げ、どこか爽やかな笑みを浮かべている。
「お邪魔しているよ、ロザリア。少し彼を借りてもいいかな」
「理由を聞いても?」
ロザリアが楽しげに問うと、ダリウスは短く笑った。
「ちょっとした興味だ。剣の腕を確かめてみたくてね」
その言葉に、シドは小さく目を瞬いた。
「……私の、ですか?」
「そう。君の剣の噂は近衛たちの間でも有名だ。実際のところ、どれほどか試してみたいと思っていた」
シドはちらりとロザリアを見やった。
彼女は手を止め、ゆるく笑みを浮かべる。
「行ってらっしゃいな。どうせ今の書類はエドが確認するところで止まってるし」
「……承知しました」
シドは立ち上がり、腰の剣に手をやった。
ダリウスは満足げにうなずくと、軽く頭を下げる。
「それでは、練習場へ案内してくれ」
ロザリアは紅茶を口に運びながら、ひらひらと手を振った。
「無茶はしないでね、どちらも」
その声を背に、二人は執務室を後にした。
廊下を進むたびに、遠くから近衛兵たちの掛け声が聞こえてくる。
陽の光が差し込む扉の向こう――そこが、彼らの次の舞台だった。



