魔法使い時々王子

次の案内先は、王城の一角に広がる騎士団の訓練所だった。
 広い土の地面には、鍛錬を重ねる兵士たちの掛け声と剣戟の音が響いている。

 ロザリアが立ち止まり、軽やかに手を広げた。
「ここがイスタリア騎士団の訓練所です。日々、王国を護る兵士たちが腕を磨いております」

 ルーサはきらきらとした目を輝かせ、辺りをぐるりと見回した。
「ほう、随分と活気があるな! なるほど、国を護る力というのはこうして鍛えられるのか」

 アリスはそんなルーサの反応に小さく笑みを漏らし、シドは少し離れて無言で周囲を観察している。

 そこへ、騎士団長ルシアンが姿を現し、きびきびと一礼した。
「ロザリア様、アリス様。そして……ステラード王国よりお越しのルーサ王子。訓練所へようこそ」

 ルーサは楽しげに頷き、腰の剣を軽く叩いた。
「ちょうどいい。俺も腕試しをしてみたいのだが……構わぬか?」

 訓練場の空気が一瞬ざわめき、ロザリアはわずかに目を細めた。
「……よろしいでしょう、ルシアン」

 ルシアンは即座に頷き、兵士に声をかける。
こうして、思いがけない試合の幕が上がった。