ボーゼンと花嫁候補のリストを見つめているわたしに構うことなく、雪之町くんは説明をはじめた。
「小惑星チロルの科学技術は、とても進んでいる。そのなかでも素晴らしいものが、生命の創造。アンドロイドに、カンペキな命をふきこんでいる。彼らは、あの星ではもはや、人間と同じ生命体に近いんだ」
「ほとんど、人間といっしょって、どのくらい一緒なの?」
「感情を自分の意志で、表現する。悲しければ、涙を流す。痛ければ、痛いと言う。裏切られれば、悲しみにくれる」
「それは、本当に、人間みたいかも」
「地球でも、AIという人工知能が存在しているようだが、技術の面で言えば、まだチロルのほうが上だった。俺の花嫁候補にするくらいには、ほとんど人間だ」
小惑星チロルの花嫁さんの名前は、ポピーか。
そんなにステキな、アンドロイドさんなのかな。
でも、わたしは雪之町くんと同じ、人間なんだもん。負けたくないな。
「ねえ。そのチロルって星には、いつ着くの?」
「このブロッサムルームは、普通の宇宙船と違い、操縦などは一切必要ない。桜の御神木が、その意思で動かし、俺たちを目的地まで連れて行ってくれる。そう、焦るな。腹が空いているならここに、桜モチと桜茶も用意しているぞ。いくら、でも食べてくれ」
雪之町くんにうながされ、ブロッサムルームに生えている太い桜の幹の、くぼみをのぞきこむ。
すると、ふわりと桜の香りがし、なかを見ると、木のお皿に乗っている桜モチがあった。
その奥にも、さまざまな桜のお菓子がきっちりと、キレイにならべられていた。
桜のいい香りに、なんだかいい気分になっていると、後ろから雪之町くんが言った。
「さっきから、落ち着かないようだが、何か不自由があるなら、言ってくれ。俺が、ムリヤリつき合わせているんだからな」
「え? いや、ごめんね。わたし、大丈夫だから!」
だって、わたしも、好きでつき合ってるんだもん。
いや、むしろ……”つき合って”くれたら、いいのになあ。な、なんてねッ!
「そういえば、いろいろありすぎて、いつのまにかサカエくんへの敬語も、忘れちゃってたな」
「ん?」
「けっきょく、サカエくんって、何歳なの?」
「年齢? なんだそれは?」
まさか、ブロッサム星には、年齢とかないの?
「うーん。サカエくんが生まれてから、今まで何年生きてきたかっていう、数かな。例えば、十年だったら、十歳とか」
「小惑星チロルの科学技術は、とても進んでいる。そのなかでも素晴らしいものが、生命の創造。アンドロイドに、カンペキな命をふきこんでいる。彼らは、あの星ではもはや、人間と同じ生命体に近いんだ」
「ほとんど、人間といっしょって、どのくらい一緒なの?」
「感情を自分の意志で、表現する。悲しければ、涙を流す。痛ければ、痛いと言う。裏切られれば、悲しみにくれる」
「それは、本当に、人間みたいかも」
「地球でも、AIという人工知能が存在しているようだが、技術の面で言えば、まだチロルのほうが上だった。俺の花嫁候補にするくらいには、ほとんど人間だ」
小惑星チロルの花嫁さんの名前は、ポピーか。
そんなにステキな、アンドロイドさんなのかな。
でも、わたしは雪之町くんと同じ、人間なんだもん。負けたくないな。
「ねえ。そのチロルって星には、いつ着くの?」
「このブロッサムルームは、普通の宇宙船と違い、操縦などは一切必要ない。桜の御神木が、その意思で動かし、俺たちを目的地まで連れて行ってくれる。そう、焦るな。腹が空いているならここに、桜モチと桜茶も用意しているぞ。いくら、でも食べてくれ」
雪之町くんにうながされ、ブロッサムルームに生えている太い桜の幹の、くぼみをのぞきこむ。
すると、ふわりと桜の香りがし、なかを見ると、木のお皿に乗っている桜モチがあった。
その奥にも、さまざまな桜のお菓子がきっちりと、キレイにならべられていた。
桜のいい香りに、なんだかいい気分になっていると、後ろから雪之町くんが言った。
「さっきから、落ち着かないようだが、何か不自由があるなら、言ってくれ。俺が、ムリヤリつき合わせているんだからな」
「え? いや、ごめんね。わたし、大丈夫だから!」
だって、わたしも、好きでつき合ってるんだもん。
いや、むしろ……”つき合って”くれたら、いいのになあ。な、なんてねッ!
「そういえば、いろいろありすぎて、いつのまにかサカエくんへの敬語も、忘れちゃってたな」
「ん?」
「けっきょく、サカエくんって、何歳なの?」
「年齢? なんだそれは?」
まさか、ブロッサム星には、年齢とかないの?
「うーん。サカエくんが生まれてから、今まで何年生きてきたかっていう、数かな。例えば、十年だったら、十歳とか」