宇宙で、推しとウエディング!?

 でも、今の言葉は聞き逃さずにはいられない。
 平常心、そして冷静に、話を進めるんだ、わたし!
「その花嫁は、見つかったの?」
「何人か、候補はいる。本当にふさわしい花嫁かを見定めるために、これから直接会いに行って、最終決定をするんだ」
 雪之町くんの花嫁候補は、もうすでに何人か、いる。
 だ、誰なのッ?
 どこにいるの、その人はッ。
 よろめきそうになる足を、必死に踏んばって、なんとか声をしぼり出す。
「さっき、この星にはもう、雪之町くんしかいないって、言ってたよね。まさか、だから花嫁さがしをしているの?」
「ああ。家族をつくるんだ。この星をずっと守っていくために」
「じゃあ、何でわたしをここに?」
「前々から、俺のことを怪しんでいたようだから」
「え?」
「俺を地球への侵入者と疑い、監視していたじゃないか」
「ち、ちがうよ! わたしは」
 わたしは、雪之町くんが好きだから、観察していたの!
 なーんて、この状況で言えるわけないよ!
「とにかく、ちがうから!」
「そうか。ちがうのか。さっきのような、地球ジョークと、言うやつか?」
「え?」
 地球ジョークって、なんだろう?
 やっぱり雪之町くん、フシギ系だ。
「まあ、それでお前には、俺の花嫁さがしを手伝ってもらいたい」
 やっぱり、わたしをここに連れて来てくれたのは、デートじゃなく、そういう理由だったのね。
 うん。わたしを頼ってくれて、嬉しいよ。
 でもでも、雪之町くんの花嫁さんを探すなんて、そんな悲恋、ある?
 わたし、雪之町くんのこと、好きなんだよ。
 ……でも、まてよ?
 これって、わたしのことを雪之町くんに、アピールするチャンスなんじゃない?
 この機会を逃すわけには、いかないんじゃない?
「わたしでよかったら、手伝わせて!」
「そうか。よかった」
しかも、雪之町くんとずっといっしょにいられる! 最高だよ!
「そういえば、お前の名前を聞いてなかったな」
「夏野シュリ、です!」
「シュリ、か。俺のことは、サカエと呼んでくれ」
「……い、いいのッ?」
「ああ。そのほうが、短くてすむだろう。都合がいい」
 ウソみたい!
 さっそく、名前呼びゲットだよ!
「それで、サカエくん。花嫁候補って、どこにいるの?」