つるつるでオレンジ色のホーロー性のボディに、心地の良い、繊細なモーター音。
シュッとした輪郭に、顔の半分くらいの大きさの目。顔のパーツは、これだけ。
頭には、猫の耳のようなパーツがついている。
「ロボット?」
どう見ても、人間のようには見えなくてつい、思った言葉が出てしまった。
やば……。わたしってば。
あんなこと言って、ポピーのこと、傷つけちゃった、よね。
わたしは、あわてて頭を下げた。
「ご、ごめんね」
「え?」
とたん、謝ってきたわたしに、ポピーはビックリした様子だ。
「どうしました? なんで謝るんですか?」
ポピーが首をかしげと、キュイン、と機械音が鳴った。
「あの……わたし、あなたのこと、ロボット? って、言っちゃった」
「はい。それが……?」
「アンドロイドって、人間とおんなじ感情があるんでしょ。わたしの言葉、ひどかったよね」
「なるほど。そういうことですか。だいじょうぶ。気にしないでください」
ポピーは、優しい声で、コロコロと笑う。
「初対面なのに、謝ってくれるなんて。礼儀正しい方なんですね。あなたは」
「でも」
「私は、製造途中のアンドロイドなんです」
「製造途中?」
「その話は後だ。行くぞ」
わからなくておろおろと、サカエくんが、わたしの手を引っぱった。ポピーも後から、ついてくる。
「いいの? ポピー、砂丘アートに来たんじゃ」
「以前から、約束していたんだ。今日が、花嫁候補の最終審査の日だとな。ここは、その待ち合わせ場所にすぎない」
サカエくんの言葉に、わたしは”なるほど”と、うなずいた。
「でも、ポピー……審査を通らなかったら、ってコト考えない?」
「だいじょうぶです。覚悟は、できてますから」
覚悟、かあ。すごいなあ。
いきあたりばったりで、サカエくんのそばにいるわたしとは、えらいちがい。
だから、サカエくんの花嫁候補になれたんだろうな。
*
サカエくんに手を引かれ、ポピーとともにやって来たのは、小さな銀色の家だった。
「ここは?」
「私の家です。どうぞ、遠慮なさらず入ってください」
う……。わたしとしては、一応ライバルの家なわけだし、なんだか気がひけるような。
「どうした、入るぞ」
グイっと手を引っぱられ、わたしは足をもつれさせながらも、ポピーの家にオジャマしてしまった。
サカエくんってば……ゴーインなんだからッ! はは……なんてね。
「どうした。ヘンな顔して」
「へ、ヘンじゃないです」
嬉しくて、ニヤついてるだけです。
ポピーの部屋は、何にもないさみしい部屋だった。
ベッドも冷蔵庫も、タンスもない。
あるのはポリタンクに、赤いフキン。
そして、丸いテーブルに、イスが4客。
ポピーにうながされ、わたしとサカエくんはイスに腰かけ、一息つくこととなった。
「すみません。人間の食物を用意できず、何もありませんが……」
「いえいえ、おかまいなく」
シュッとした輪郭に、顔の半分くらいの大きさの目。顔のパーツは、これだけ。
頭には、猫の耳のようなパーツがついている。
「ロボット?」
どう見ても、人間のようには見えなくてつい、思った言葉が出てしまった。
やば……。わたしってば。
あんなこと言って、ポピーのこと、傷つけちゃった、よね。
わたしは、あわてて頭を下げた。
「ご、ごめんね」
「え?」
とたん、謝ってきたわたしに、ポピーはビックリした様子だ。
「どうしました? なんで謝るんですか?」
ポピーが首をかしげと、キュイン、と機械音が鳴った。
「あの……わたし、あなたのこと、ロボット? って、言っちゃった」
「はい。それが……?」
「アンドロイドって、人間とおんなじ感情があるんでしょ。わたしの言葉、ひどかったよね」
「なるほど。そういうことですか。だいじょうぶ。気にしないでください」
ポピーは、優しい声で、コロコロと笑う。
「初対面なのに、謝ってくれるなんて。礼儀正しい方なんですね。あなたは」
「でも」
「私は、製造途中のアンドロイドなんです」
「製造途中?」
「その話は後だ。行くぞ」
わからなくておろおろと、サカエくんが、わたしの手を引っぱった。ポピーも後から、ついてくる。
「いいの? ポピー、砂丘アートに来たんじゃ」
「以前から、約束していたんだ。今日が、花嫁候補の最終審査の日だとな。ここは、その待ち合わせ場所にすぎない」
サカエくんの言葉に、わたしは”なるほど”と、うなずいた。
「でも、ポピー……審査を通らなかったら、ってコト考えない?」
「だいじょうぶです。覚悟は、できてますから」
覚悟、かあ。すごいなあ。
いきあたりばったりで、サカエくんのそばにいるわたしとは、えらいちがい。
だから、サカエくんの花嫁候補になれたんだろうな。
*
サカエくんに手を引かれ、ポピーとともにやって来たのは、小さな銀色の家だった。
「ここは?」
「私の家です。どうぞ、遠慮なさらず入ってください」
う……。わたしとしては、一応ライバルの家なわけだし、なんだか気がひけるような。
「どうした、入るぞ」
グイっと手を引っぱられ、わたしは足をもつれさせながらも、ポピーの家にオジャマしてしまった。
サカエくんってば……ゴーインなんだからッ! はは……なんてね。
「どうした。ヘンな顔して」
「へ、ヘンじゃないです」
嬉しくて、ニヤついてるだけです。
ポピーの部屋は、何にもないさみしい部屋だった。
ベッドも冷蔵庫も、タンスもない。
あるのはポリタンクに、赤いフキン。
そして、丸いテーブルに、イスが4客。
ポピーにうながされ、わたしとサカエくんはイスに腰かけ、一息つくこととなった。
「すみません。人間の食物を用意できず、何もありませんが……」
「いえいえ、おかまいなく」