「心配するな」
あ、これ。桜の木の幹を通り抜けたときと同じ、シャボン玉をすりぬけたときのような感覚といっしょだ。
そのまま、シャボン玉の膜のようなそれは、わたしとサカエくんのカラダをつつみこみ、皮膚にかぶさった。
「桜の御神木の粘液だ。お前の星で言う、宇宙服なのかも知れないな。呼吸に支障は、ないはずだぞ」
周りは、すでに小惑星チロルの風景になっていた。
窓を出たわたしたちは、桜の御神木の根っこに、立っていた。
サカエくんに支えられながら、わたしは、意を決して、ハア、と息を吸い込む。
「本当だ。息できる!」
「問題ないな。じゃあ、おりるぞ」
そして、桜の御神木は、ゆっくりと小惑星チロルの地面の上へとおりていった。
小惑星チロルに、ようやく到着すると、サカエくんがわたしに向き合い、言った。
「この惑星の空気は、俺やお前には合わない。何しろ、アンドロイドしかいない星だからな。桜の粘液を、わらないように気をつけろ」
「……わったら、どうなるの?」
見た分には、皮膚にぴったり張りついて、桜の粘液があることなんて、全然気にならない。
こんなのが、どうやったら、われるんだろう?
「水分にふれたら、われるな」
「うそ。一滴だけ、でも?」
「そうだ。まあ、注意していれば大丈夫だろう。行くぞ」
そんなこと言われても、水分なんてどこにでもあるし、どうやって注意すればいいのっ!
でもでも……待てよ?
よく考えてみたら、ここはアンドロイドの星。
機械に水分は、大敵なんじゃない?
水に浸かったら、壊れちゃうもん。
そう考えたら、水分に浸かるよゆうなんて、ないんじゃない?
うんうん。なーんだ。気に病むことじゃ、なかったね。
目の前に広がる、砂丘。その近くに生えている、松に似た木。
そして、川。
うそ! 川が、流れてる。
がっつり、水分だよ!
やっぱり、いくらアンドロイドの星だからって言っても、まったく水分がない、なんてこと、あるわけないんだね……。
「でもこれじゃあ、安心して水も飲めないよーっ」
わたしがそう嘆くと、サカエくんは、ポケットから何かを取り出した。
ストローと、小さな霧吹きだ。
ブロッサム星にもあるんだ……。
あ、これ。桜の木の幹を通り抜けたときと同じ、シャボン玉をすりぬけたときのような感覚といっしょだ。
そのまま、シャボン玉の膜のようなそれは、わたしとサカエくんのカラダをつつみこみ、皮膚にかぶさった。
「桜の御神木の粘液だ。お前の星で言う、宇宙服なのかも知れないな。呼吸に支障は、ないはずだぞ」
周りは、すでに小惑星チロルの風景になっていた。
窓を出たわたしたちは、桜の御神木の根っこに、立っていた。
サカエくんに支えられながら、わたしは、意を決して、ハア、と息を吸い込む。
「本当だ。息できる!」
「問題ないな。じゃあ、おりるぞ」
そして、桜の御神木は、ゆっくりと小惑星チロルの地面の上へとおりていった。
小惑星チロルに、ようやく到着すると、サカエくんがわたしに向き合い、言った。
「この惑星の空気は、俺やお前には合わない。何しろ、アンドロイドしかいない星だからな。桜の粘液を、わらないように気をつけろ」
「……わったら、どうなるの?」
見た分には、皮膚にぴったり張りついて、桜の粘液があることなんて、全然気にならない。
こんなのが、どうやったら、われるんだろう?
「水分にふれたら、われるな」
「うそ。一滴だけ、でも?」
「そうだ。まあ、注意していれば大丈夫だろう。行くぞ」
そんなこと言われても、水分なんてどこにでもあるし、どうやって注意すればいいのっ!
でもでも……待てよ?
よく考えてみたら、ここはアンドロイドの星。
機械に水分は、大敵なんじゃない?
水に浸かったら、壊れちゃうもん。
そう考えたら、水分に浸かるよゆうなんて、ないんじゃない?
うんうん。なーんだ。気に病むことじゃ、なかったね。
目の前に広がる、砂丘。その近くに生えている、松に似た木。
そして、川。
うそ! 川が、流れてる。
がっつり、水分だよ!
やっぱり、いくらアンドロイドの星だからって言っても、まったく水分がない、なんてこと、あるわけないんだね……。
「でもこれじゃあ、安心して水も飲めないよーっ」
わたしがそう嘆くと、サカエくんは、ポケットから何かを取り出した。
ストローと、小さな霧吹きだ。
ブロッサム星にもあるんだ……。



