本から顔を上げると、この家のご主人が戸口に立っている。
「すみません! 素敵なデザインが沢山あったので」
「君にデザインのことがわかるわけないだろ」
「え……」
「さっさと手を動かしてくれよ。こっちは高いオプション料払っているんだからさ」
「はい」
私が本を段ボールに仕舞い始めても、ご主人はしばらく立ったまま私を監視するように見ていた。
私が悪いのはわかっているけど、『デザインのことがわかるわけないだろ』と言われて、悔しい。それに何だか惨めな気持ちになった。
だけど今は仕事中。感情を胸の奥に押し込め、本の片付けを淡々とした。余計なことは考えない。考えない。
一つ目の段ボールの梱包作業が終わり、二つ目に入る。
ご主人はまだ私を見ている。
「君みたいな若い女性が、なんでこんな仕事やっているの? 仕事がないの?」
「え」
「君いくつ? 二十五くらい?」
私の顔をじろじろと見てくる。
この仕事をして、そんな風に個人的なことを聞かれたのは初めてだった。
「お客様、そう言った質問はご遠慮ください」
大塚さんが書斎に入って来た。
「高い金払っているのに、質問もできないのか」
大塚さんも私も目が点になった。
「私たちはお客様のお荷物を片付けるのが仕事ですから。話し相手が欲しかったら、その手のお店に行ったらどうですか?」
大塚さんがお客様に言い返した。
すごい。大塚さん。
「すみません! 素敵なデザインが沢山あったので」
「君にデザインのことがわかるわけないだろ」
「え……」
「さっさと手を動かしてくれよ。こっちは高いオプション料払っているんだからさ」
「はい」
私が本を段ボールに仕舞い始めても、ご主人はしばらく立ったまま私を監視するように見ていた。
私が悪いのはわかっているけど、『デザインのことがわかるわけないだろ』と言われて、悔しい。それに何だか惨めな気持ちになった。
だけど今は仕事中。感情を胸の奥に押し込め、本の片付けを淡々とした。余計なことは考えない。考えない。
一つ目の段ボールの梱包作業が終わり、二つ目に入る。
ご主人はまだ私を見ている。
「君みたいな若い女性が、なんでこんな仕事やっているの? 仕事がないの?」
「え」
「君いくつ? 二十五くらい?」
私の顔をじろじろと見てくる。
この仕事をして、そんな風に個人的なことを聞かれたのは初めてだった。
「お客様、そう言った質問はご遠慮ください」
大塚さんが書斎に入って来た。
「高い金払っているのに、質問もできないのか」
大塚さんも私も目が点になった。
「私たちはお客様のお荷物を片付けるのが仕事ですから。話し相手が欲しかったら、その手のお店に行ったらどうですか?」
大塚さんがお客様に言い返した。
すごい。大塚さん。



