机の前に座って恋愛ってなんだろうと考えていた。
 明日提出するシナリオの宿題をやっている所だった。

 お見合いしたり、高坂さんと再会したり、先生の家に行ったりして、気づいたらもう水曜日になっていた。
 さすがに手をつけなければと思うけど、原稿用紙は白紙のままだ。こうなったら高坂さんと会ったことをネタにするか。世界一苦手な相手とお見合いして、付き合ってみたらいい人で、だんだん惹かれていくというのはどうだろう? 嫌いから始まって、恋に落ちるという話もわりと好きだ。

 しかし、高坂さんの顔で想像すると、シャーペンが全く動かない。高坂さんと恋愛なんてありえない。顔は違う人で想像するか。誰にしよう? 私と最近関わりがある男性は……先生だ!

 先生をイメージしたら、びっくりする程ストーリーが進んだ。我ながら傑作が書けたと思う。やっぱり恋愛ドラマはイケメンだよね。高坂さんもそれなりにカッコいいが、悪役顔だ。犯罪者役だったら似合いそう。

 思わず笑いが零れる。

「美桜! 支度できた?」

 下から母の声がした。
 約束の七時になっていた。今夜は父と母と外で夕飯を食べる約束をしていた。