「逃げていいんだよ」と彼は言ってくれた。

「期待しないで下さいよ。ピンボケなんですから」

 スマホを取り出し、先生に写真を送信した。

「あ、来た」

 メッセージアプリを開き、先生が嬉しそうに写真を見る。

「本当にピンボケだ」
「だから言ったでしょ」
「いいんだ。藍沢さんと一緒にいた記念になるから」

 心臓がトクンっと鼓動を打つ。
 それって私と一緒にいた思い出に写真が欲しかったってこと?

 まさか先生は……。