「私、情けないですよね。大学まで出してもらって、好きな仕事に就いて、でも、耐えられなくて会社を辞めて。実家に帰って来た私を父が心配するのは当然ですよね。父なりに私の幸せを考えて結婚を勧めたのもわかるんです。今の私って中途半端だから」
私の存在が父と母の重荷になっていると思ったら苦しい。でも、父が望むようには生きられない。
「本当は元の場所に戻らなきゃいけないのはわかっているんです。でも、デザインをしようとすると、一番辛かった時のことが蘇って出来ないんです。だけど、デザインの仕事をしたい気持ちもあって……。でも怖くて。私、自信がないんです。怖いんです」
ぎゅっと先生が抱きしめてくれた。
「藍沢さんはいい子なんだね。自分のことよりも周りの人のことを考えてしまう。だから、苦しくなるんだよ。だけどさ、自分が一番大事なんだよ。自分を守れるのは自分だけなんだ。嫌だと思うことを無理にすることはない。怖いことをすることもない」
先生と初めて出会った時も『自分が一番大事なんだよ』と教えてくれた。
「でも、両親の重荷になりたくない……」
「重荷になんかなってないよ。藍沢さんが自分の気持ちに蓋をして、やりたくないことを無理矢理やることの方がご両親は嫌だと思うけどな」
「そうなんですか?」
「そうだと思うよ」
先生の話を聞いたら、少しだけ気持ちが落ち着く。
「藍沢さん、シナリオ楽しい?」
唐突な質問だと思った。
「はい。楽しいです」
「それ」
「え?」
「楽しいってことは、やりたいことを藍沢さんはしているんだよ。ちゃんと自分の気持ちがわかっているじゃないか。楽しいことがわかっている藍沢さんは大丈夫だよ。逃げていないよ」
先生の言葉が胸の深い所まで沁みて、声をあげて泣いた。
大丈夫だって、逃げていないって言われたことに心の底からほっとする。泣いている間もずっと先生は抱きしめてくれた。先生の腕の中は世界一安心できる場所だった。
私の存在が父と母の重荷になっていると思ったら苦しい。でも、父が望むようには生きられない。
「本当は元の場所に戻らなきゃいけないのはわかっているんです。でも、デザインをしようとすると、一番辛かった時のことが蘇って出来ないんです。だけど、デザインの仕事をしたい気持ちもあって……。でも怖くて。私、自信がないんです。怖いんです」
ぎゅっと先生が抱きしめてくれた。
「藍沢さんはいい子なんだね。自分のことよりも周りの人のことを考えてしまう。だから、苦しくなるんだよ。だけどさ、自分が一番大事なんだよ。自分を守れるのは自分だけなんだ。嫌だと思うことを無理にすることはない。怖いことをすることもない」
先生と初めて出会った時も『自分が一番大事なんだよ』と教えてくれた。
「でも、両親の重荷になりたくない……」
「重荷になんかなってないよ。藍沢さんが自分の気持ちに蓋をして、やりたくないことを無理矢理やることの方がご両親は嫌だと思うけどな」
「そうなんですか?」
「そうだと思うよ」
先生の話を聞いたら、少しだけ気持ちが落ち着く。
「藍沢さん、シナリオ楽しい?」
唐突な質問だと思った。
「はい。楽しいです」
「それ」
「え?」
「楽しいってことは、やりたいことを藍沢さんはしているんだよ。ちゃんと自分の気持ちがわかっているじゃないか。楽しいことがわかっている藍沢さんは大丈夫だよ。逃げていないよ」
先生の言葉が胸の深い所まで沁みて、声をあげて泣いた。
大丈夫だって、逃げていないって言われたことに心の底からほっとする。泣いている間もずっと先生は抱きしめてくれた。先生の腕の中は世界一安心できる場所だった。



