幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの？

だから、沙菜とたまたま廊下ですれ違うときは、ものすごく緊張した。
それを悟られないよう早口にトークを炸裂させる。
キャッキャと笑う女たちの声。
オレはチラリと沙菜を見た。
だけど、沙菜の表情は固い。
軽蔑でもされているんだろうか…。
オレを視界にいれないよう必死な様子に思えた。

なんだよ…。
オレは沙菜に見てほしくて、こんな面倒なことをやってんだぞ。

激しく凹む。
本当に、オレは何をやっているんだろうか。
もう、どうでも良くなってきた。

オレは木田も気にするようになった。
いつ、沙菜を奪っていくのか、不安でたまらなかった。

沙菜がオレの教室の前を通るとき、木田に手を振る。
そして木田が笑顔で手を振り返す。
オレはそれを誰にも気付かれないように見ては、一人孤独に落ち込んだ。

木田はいいやつなんだ。本当に。
友達として付き合っていても、何も嫌な思いをしない。
気さくで明るくて話しやすい。

それがまた、ムカついた。
オレなんか足元にも及ばないように感じて。
だから、要らぬことを話してしまった。