幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

誰が誰に告白しただとか、誰と誰が付き合い始めただとか、あるいは別れただとか。
そういう噂は広まるのが早い。
私も例外に漏れず、立て続けに告白されたことが噂となって広まってしまった。
慌てたのが木田君。

「まさか、OK出してたりしないよね?」

血相を変えて飛んできたのがおかしかった。
やっぱり癒しの人だな。

「っと…、ごめん。それは三波さんが決めることだもんな。
だけど、もしそうなったら、俺、正直立ち直れないかも」

眉を寄せて悲しげな顔をする木田君。
かわいいなぁ。

「大丈夫だよ。今誰かと付き合うなんて考えられないから」

笑ながら言ってしまった。
私、なんか上からな言い方したかも。
というか、木田君だってモテるのに。

「本当?良かった。
いや、良くないか。誰ともってことは、俺ともダメってことだもんなぁ」

「ねえ、木田君に聞くのも変なんだけど」

「なに?なんでも聞いて」

「どうして急にモテ期が到来したのかなぁ」

本当に謎。
中学の頃からずっと目立たない女子だったのに、特に2学期に入ってからのこの騒ぎは何だろう。

「それは…」

少し言いよどむ木田君。

「やっぱわからないよね」

「いや、わかるよ。北河のマークがなくなったからだろうね」

「ん?」

怪訝な顔をしていたんだろう。

「ごめん、北河の名前、出したくなかったんだけど、でも事実だと思う」

木田君はすまなそうに言う。

「そこで、なんで蓮が出てくるの?」

そう言えば、クラスメイトの男子も蓮の名前を出していたかも。

「三波さん、すっごく可愛いけど、入学してからずっと北河が警戒してただろ?」

「警戒?なんのこと?
ってか、すっごく可愛いって、木田君の趣味がちょっとおかしいだけじゃない?」

「何言ってんだよ!」

驚愕する木田君を見て、私もビックリしてしまった。