幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

好きでいたって仕方ない。
だから早く諦めなきゃ。
蓮が私に笑いかけてくれることなんて、もう二度とないんだから。
そう思って、本当に気持ちが変われば楽なのに。
今日もまだ蓮を好きなままだった。

神様は意地悪で、私が知りたくないこと、見たくないことでも容赦なく現実を突きつけてくる。
授業も終わり、一度は美術室に来たものの、忘れ物をして教室に戻る途中、私は見てしまった。
蓮と女の子が二人で歩いていて、廊下の角を曲がるところを。

よせばいいのに、教室とは違う方向へ進んだ二人を追ってしまう私。
激しく後悔した。
廊下の先には使われていない教室があって、そこで蓮が女の子にキスしてるのを見てしまったから。

ここにいてはいけない。
そう思ったのに足が動かなかった。

心臓が早鐘を打つ。
ふと、心が目線を上げた。
そして、確かに蓮と視線が合った。
女の子は私に背を向けている状態で、気付いていないみたいだ。
蓮は私から目を逸らし、女の子を机に座らせた。

もう、これ以上は無理…!
精神力を振り絞って、私はなんとかその場を離れた。
走って自分の教室に逃げ込んだ。
まだ心臓がドキドキしている。
きっと、今頃蓮はあの女の子と…。

そう思うと、気分が悪くなりそうだった。
噂は本当だったんだ。

どこかでずっと、そんなことないって思ってたけど。
現実を突きつけられて、心が引き裂かれそう…。
涙がじわりと溢れそうになる。
部活の途中なのに。
泣いている場合じゃないのに。
ぐいっと涙を拭いた。
気持ちを切り替えるのよ、沙菜。

蓮に振り回される日々。
それでも日常は過ぎ去っていく。