幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

あっという間に帰る時間になった。
駅までの道のりを二人で歩いた。

「木田君、今日は本当にありがとう。
それに、わけわかんなかったでしょう?ごめんね」

木田君は首を振った。

「とっても楽しかった。ありがとうを言うのは俺の方だよ」

「どこまでいい人なの、木田君は」

「いい人止まり?」

ドキ…。
確信に迫ることを言われて動揺した。

「気長にって思ってたけど、泣いていた三波さんに付け込みたくなったよ」

木田君を見ると、真剣な顔をしていた。

「泣いた理由は、もしかして北河?」

「どうしてそう思うの?」

思わず聞き返していた。

「北河の噂、俺も知ってる。1学期の途中から三波さんとギクシャクしていたことも。
だから、何となく…」

そっか…。
木田君にはバレバレなんだ。
でも、なぜか嫌な気持ちにはならなかった。

「三波さんは…、北河のことが好きなの?」

「っ!」

「ごめん…、聞かないでいようと決めていたはずなのに」

「あは、実は、今日気付いたんだ」

なぜだろう。
木田君だと、話してもいいかなって気持ちになる。

「今日?」

「うん。出かけるとき少しあってね。
それで今更自分の気持ちに気付いちゃって。
もう、どうしていいのかわからなくなっちゃったの」

「そうだったんだ…」

「あ、駅着いちゃったね」

改札口に辿り着いた。

「じゃあ、またね。困らせちゃってごめんね」

「あのさ!」

駅に入ろうとしたら、木田君が呼び止めた。

「なに?」

振り向く私。

「俺と付き合わない?」

心臓が大きく跳ねた。

「でも…」

「いや、彼女になってほしいなんておこがましいか。
三波さんの都合の良い男にしてください!」

そして、木田君は90度に頭を下げた。