幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

「話したくないなら、何も聞かないよ。俺のことは気にしないで。
三波さんが落ち着くまで、ずっと付き合うから」

優しい言葉に尚更涙が溢れた。

一体電車を何本見送っただろうか。
木田君は何も言わず、ただ側にいてくれた。
ようやく、涙が収まってくる。
何やってんだろう、私…。

「何か飲む?」

「……」

「ちょっと待ってて」

木田君は自動販売機でオレンジジュースを買ってきてくれた。

「暑いし、泣くと喉渇かない?」

「ありがとう…」

オレンジジュースを受け取った。
私が一番好きなオレンジ味。
一口飲んだ。

「おいしい」

単なる缶ジュースなのに、すごく美味しく感じた。

「良かった。三波さん、オレンジ好きだと思ったから」

ニカっと笑う木田君。

「どうして?」

「遊園地のときも、お台場のときも、飲み物はオレンジだったよね」

「よく見てるんだ…」

さすが気遣い王だな。

「三波さんのことはね」

そう言って、木田君は自分用に買ったスポーツ飲料をゴクゴクと飲んだ。
本当に優しい人。
木田君を好きになれば良かったのに。
どうして、蓮なんかを好きになっちゃったんだろう。
しかも、こんな状態になって気付くなんて。

「今日はどうしようか?」

私が少し落ち着いたのを確認して、木田君は聞いてくれた。

「もし、しんどいなら、またでもいいよ。残念だけど、無理させちゃいけないし」

どこまでも優しい木田君。
遅刻して、私の都合で暑い中駅のホームにいる羽目になっても、全然怒ってないんだ。