そこまで言うと、三人の瞳に同情の色が浮かんでくる。

「そ、そっかー…。なんか変なこと聞いちゃってごめんね」

この三人は明らかに蓮のファンだな。
こういったタイプの女の子たちには、私もあなたと同類ですよ~って、幼なじみを強調せずに振り回される一ファンを装った方が上手くいく。
中学時代、あらぬ誤解を受けて、一部の女子からいじめられたときに学んだ私の処世術だ。

蓮がモテ始めてからというもの、ただ蓮と家が隣だというだけで、幼なじみだってだけで、勝手に妄想して暴走した女子からの当たりが強くなってしまったのだ。
ときにはいじめや嫌がらせもあり、私は酷い迷惑を被った。

高校では同じ棘の道を進むまい。
蓮に騒ぐ女子たちの扱いには細心の注意を払っている。

チャイムが鳴った。

「三波さん、今度、放課後お茶しよ!」

私をすっかり自分たちの仲間だと思い込んだ彼女達は、親しみを込めてお誘いの言葉をくれた。

「うん。ありがとう」

にっこりと手を振る私。
蓮さえ関わっていなければ、なんの問題もなく仲良くなれそうなんだけどな。

私は誰にも気付かれないように小さなため息をついた。

なぜ蓮は高校が同じなんだ…。

言っても仕方ないんだけど。
家からほど近い通学範囲でかつ公立、偏差値が60台前半と言えば、選択肢はここしかないんだから。
そう自分に言い聞かせつつ、蓮がいるがために気を配る場面が多いことに、私はちょっと疲れていた。