幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

「まぁ~、沙菜、今モテ期なんじゃない?」

お母さんが茶化す。

「そうだよ、モテモテだな。デートの相手、教えろよ」

蓮はまだそれを聞いてくるか。

「別に、デートじゃないわよ」

竜のお陰ですっかり緊張も解けて、前の調子で心と接することができた。
ありがとう、竜!
グッジョブだね。
久しぶりに蓮と普通に話が出来たような気がする。

だけど、その日限りのことだった。
夏休み、蓮が女の子の家に通っているという噂を聞いてしまった。
こういう話って、誰がどう知って広まるんだろう…。
知りたくない話まで聞こえてきて、苦しくなる。

部活で製作しているときは無心になれるけど、休憩時間に色々な話題の中で心の話が持ち上がると、辛くてたまらなかった。
幼馴染で家が隣の私は、嫌でもたくさん質問される。
だけど、答えられないよ。
私が蓮と親しくしていたのは5月までだもん。
最近の蓮はわからないよ…。

憂鬱な気分を変えてくれるのは、いつも木田君だった。
この人の優しい気遣いって本当に心和ませる。
だから、夏休み、最後に二人で遊ぼうと誘われたとき、頷いていた。