幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの？

「さあさあ、蓮君もどうぞ」

お母さんに促されて、蓮はうちに上がることにしたみたいだった。

「もうすぐ全部揚がるから、待っててね」

蓮がリビングに入ってきた。
私は竜とテレビを見ていた。
蓮はダイニングテーブルの椅子に座る。
なんとなく、見られているような感じがして落ち着かない。
それを誤魔化すために、テレビを見入った。

「はい、できたわよ。沙菜、運んで」

お母さんに呼ばれる。

「は～い」

蓮の後ろを横切った。
蓮がいるだけで、さっきまでの寛いだ気持ちは一切なくなって、嫌な緊張感だけが私を支配している。
それを気付かれないように、頑張って平静を装った。

「やった～！」

竜の無邪気な声にホッとする。

「オレも手伝います」

「ありがとうね、蓮君」

え！？

蓮は立ち上がり、料理を運んだ。
狭い台所だから距離がとても近くなる。
どうして、こんなにドキドキするんだろう…。

料理をテーブルに並び終え、皆で食べ始めると、お母さんはニコニコと蓮に話しかけた。

「蓮君、随分男っぽくなってきたわね～」

いきなりなんて話題よ。

「そうですか？」

蓮、困惑してる。

「うん。少し前までプニプニしてたのにね～」

「プニプニって、そりゃ大昔ですよ」

「１０年なんて、あっという間よ。私も年とるはずよね～」

「おばさん変わってないと思いますけど」

いつの間にか敬語になった蓮だけど、お母さんに対する信頼は変わってないみたい。
楽しそうに会話する二人を見て、沈んだ気持ちになった。
蓮の中から、私だけが排除されていく。

「まあ！蓮君ありがとう！沙菜はそういうこと言ってくれないのよ」

お母さんは大喜び。
まったく、年甲斐もないんだから。