幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

「よう」

朝、玄関先で待ち構えて、出てきたところで声をかけると、沙菜は絶句した。

「なんだ、そのアホ面」

正直な感想を言ってやる。
沙菜はハッと我に返った。

「な、なに?」

なんだ?えらい警戒されてねーか?
そっか、キスなんかしたから、当たり前か。
でもオレは全くそんなこと気にならない。

「今日からまた頼むぜ」

「な、なにを?」

「自転車運ちゃんだよ」

そう言うと、沙菜は目を点にした。
おもしれー。

「聞こえたか?ほれ、運賃」

二百円差し出してみる。

「いやいや、受け取れないし」

沙菜は手をブンブン振って拒否してきた。

「なんでだよ」

「もう蓮運びたくないよ」

その言葉にムカッときた。

「どうしてだよ?もう問題ないはずだろ?」

「問題って?」

「麻賀と別れて、オレ今フリーなんだから、沙菜も変な気使う必要なくなっただろ」

そこまで説明してやっても、沙菜は動かない。
なにをそんなに心配してるんだ?

「そろそろ行かねーと遅刻じゃね?」

固まってる沙菜を促した。
本当に、このままだと遅刻だ。

「はっ!そうだ!」

慌てて自転車を出す沙菜。
オレはすかさず後部座席に飛び乗った。

「今日だけだからね!」

怒りながらも自転車をこぎ始める沙菜。

「そんなご無体な、沙菜様」

嬉しくなった。
やっぱり沙菜はオレを拒絶したりなんかしねえ。
これで、前みたいな関係に戻れるぞ!