幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

「はい、到着!」

やっと高校に着くと、朝から既にヘトヘトの私。

「ごくろ~さん!ほい、今日の分」

蓮は私に二百円を渡すと、一人でさっさと校舎に向かった。
これは毎日のこと。

「あー…疲れた…」

しばらく自転車置き場で涼む私。
5月の日差しは強いけど風が心地よくて、日陰にいれば教室よりずっと快適だ。

「おはよう、沙菜。今日もお疲れ様」

そこへクラスメイトの工藤愛実(クドウ アイミ)がやってきた。
愛実は奇跡的に家から高校までの道のりに平坦ルートがあって、普通の自転車で通学している。

「おはよう。愛実は今日も爽やかだね」

恵まれた平坦ルートの愛実は、私のように汗だくになったりはしない。
う、羨ましい…。

「今日も蓮君かっこいいね。心は鬼だけど」

「あいつはイケメンという仮面を被った悪魔なんだよ」

「あっはっは。的を得た表現!」