幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

沙菜にキスした。
どうしてそんなことをしたのか、自分でも良くわからない。
ただ、沙菜から拒否されて、心底ムカついたのは確かだ。
結局オレを自転車に乗せるのが嫌だってだけか。
そもそも、おせっかいなことをする沙菜悪いんだ。

「とにかく、明日から電車で行って。定期持ってるんだから。私帰るね」

そう言って沙菜が動いた瞬間、行かせたくないと強く思った。
衝動的に掴んで、そして気付いたらキスしていた。

「嫌!!」

当然沙菜は暴れる。
逃がさないこともできたけど、離してやった。

「なにすんのよ!」

口を拭う沙菜。
そんなにオレが嫌かよ。
汚いものを見るような視線を向けられる。

「沙菜が悪いんだろ」

オレはなぜかそれがショックで、八つ当たりをした。

「はぁ!?」

「おまえオレに雇われてんだから、詮索なんかしねーで仕事だけしてろよ」

そうだ。沙菜はなんだかんだ言っても、最終的にはオレの頼みを断らない。
だけど、今日の沙菜は、オレに近づかれるのも嫌みたいだ。
怯えた瞳を見て、余計にいじめてやりたくなった。

「がめつい沙菜ちゃんは、もしかして、お金払えばこの先やらせてくれたりするわけ?」

「何言ってるの…」

顔面蒼白の沙菜は、走って逃げて行った。

一人取り残され、酷く寂しい気持ちになった。
あーあ、なにやってんだろ、オレ。
なんでこんなに凹んでるんだ?
ついさっきまで、楽しくやってたのに。

沙菜がぶち壊したんだ。
沙菜がオレ達の中にありすを入れてきたから。
オレと沙菜は、そういうんじゃないだろ?
よそ者を入れてくんなよ。
それはそれ、じゃねーか。

オレは学校ではありすと付き合ってるけど、家にまで持ち込む気はないんだよ。
オレの家族と、沙菜の家族。
オレの大切な場所。
それをずっと守っていきたかったのに。
沙菜はオレを拒絶した。

じゃあ、どうすればまた、受け入れてくれる?
わからない。

この次の日から、オレは電車で学校に行くようになった。
また、沙菜に拒否されるのが恐かったんだ。
なんだ、このモヤモヤは。
良くわかんねー。