「沙菜?」
「え?」
「聞いてた?」
「あ、ごめん…。ボーっとしてた」
ふぅっと愛実はため息一つ。
「ねえ、ずっと気になってたんだけど、蓮君と何かあった?」
「え?」
その質問に激しく動揺した。
「だって、蓮君と登校しなくなったし、明らかに二人不自然じゃない?」
「そうかな?」
「略奪愛の噂が落ち着いたのは良かったけど、何も話してくれないのは友達として寂しいな」
愛実は心配そうに私を覗き込んだ。
ごめんね、愛実。
「ちょっと大喧嘩しちゃってね。今修復不可能な感じなんだ」
「そうだったの…」
「でも、腐れ縁だし、どってことないよ。心配かけてごめんね。ありがと」
そう言うと、愛実は少し安心したみたいだった。
「何かあったら言ってね。力になるから」
友達って、本当に大切な存在だな。
それにしても、蓮が来るもの拒まずって本当なのかな。
愛実が嘘つくはずないとわかっているけど、どうしても信じたくない。
口はきかないけど、今も蓮は竜を迎えにうちに来ることがある。
そのときの蓮は、前と変わらず、面倒見の良いお兄ちゃんだ。
お父さんもお母さんも、そして竜も、私たちがギスギスしていることに気付いているだろうに、口出しせず自然に振舞ってくれていた。
蓮のことは、今でもやっぱり少し恐いと思うし、無理矢理キスしてきたことは怒っている。
だけど、それでも、あいつが酷いことしてるなんて信じたくなかった。
だからといって、蓮に真相を聞くのも恐い。
本当に、どうしたらいいんだろう。
今回の噂は内容が内容なだけに、騒ぎ立てられるわけではなく、ひっそりと水面下で広まっていった。
ポツリポツリと嫌な話が耳に入ってくる。
その度に「どうして?」と蓮に対する不可解な気持ちに押しつぶされそうになった。
そしてある日、ついに見てしまった。
蓮が学校の庭で、女の子とキスをしているところを。
相手は、派手なメイクで有名な1つ上の先輩だった。
蓮、どうして?
その先輩のことが好きなの?
それとも、噂は事実なの?
女の子なら誰でもいいの?
私にキスしたのも、誰でも良い内の一人ってだけだった?
グルグルと疑問が沸いてくる。
なんでこんなに胸が苦しいんだろう。
頬が濡れてる…。
どうして私、泣いてるんだろう。
わからない。全部わからないよ。
ねえ、蓮、どうして変わっちゃったの?
それが寂しくて悲しい。
あ、そうか…。
大切だった蓮が変わってしまったから、悲しくて涙が出るんだ。
ずっとお隣さんで、家族のように近かった大好きな蓮が、まるで別人のように変わってしまったから。
それが、寂しいんだ…。
辛い気持ちを抱えたまま、夏休みを迎えた。
「え?」
「聞いてた?」
「あ、ごめん…。ボーっとしてた」
ふぅっと愛実はため息一つ。
「ねえ、ずっと気になってたんだけど、蓮君と何かあった?」
「え?」
その質問に激しく動揺した。
「だって、蓮君と登校しなくなったし、明らかに二人不自然じゃない?」
「そうかな?」
「略奪愛の噂が落ち着いたのは良かったけど、何も話してくれないのは友達として寂しいな」
愛実は心配そうに私を覗き込んだ。
ごめんね、愛実。
「ちょっと大喧嘩しちゃってね。今修復不可能な感じなんだ」
「そうだったの…」
「でも、腐れ縁だし、どってことないよ。心配かけてごめんね。ありがと」
そう言うと、愛実は少し安心したみたいだった。
「何かあったら言ってね。力になるから」
友達って、本当に大切な存在だな。
それにしても、蓮が来るもの拒まずって本当なのかな。
愛実が嘘つくはずないとわかっているけど、どうしても信じたくない。
口はきかないけど、今も蓮は竜を迎えにうちに来ることがある。
そのときの蓮は、前と変わらず、面倒見の良いお兄ちゃんだ。
お父さんもお母さんも、そして竜も、私たちがギスギスしていることに気付いているだろうに、口出しせず自然に振舞ってくれていた。
蓮のことは、今でもやっぱり少し恐いと思うし、無理矢理キスしてきたことは怒っている。
だけど、それでも、あいつが酷いことしてるなんて信じたくなかった。
だからといって、蓮に真相を聞くのも恐い。
本当に、どうしたらいいんだろう。
今回の噂は内容が内容なだけに、騒ぎ立てられるわけではなく、ひっそりと水面下で広まっていった。
ポツリポツリと嫌な話が耳に入ってくる。
その度に「どうして?」と蓮に対する不可解な気持ちに押しつぶされそうになった。
そしてある日、ついに見てしまった。
蓮が学校の庭で、女の子とキスをしているところを。
相手は、派手なメイクで有名な1つ上の先輩だった。
蓮、どうして?
その先輩のことが好きなの?
それとも、噂は事実なの?
女の子なら誰でもいいの?
私にキスしたのも、誰でも良い内の一人ってだけだった?
グルグルと疑問が沸いてくる。
なんでこんなに胸が苦しいんだろう。
頬が濡れてる…。
どうして私、泣いてるんだろう。
わからない。全部わからないよ。
ねえ、蓮、どうして変わっちゃったの?
それが寂しくて悲しい。
あ、そうか…。
大切だった蓮が変わってしまったから、悲しくて涙が出るんだ。
ずっとお隣さんで、家族のように近かった大好きな蓮が、まるで別人のように変わってしまったから。
それが、寂しいんだ…。
辛い気持ちを抱えたまま、夏休みを迎えた。



