幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの？

土日を挟んで月曜日。
それでも蓮を後ろに乗せて自転車をこぐ私。
断ってやろうかと思ったけど、理由を聞かれる方が面倒なことになりそうで。

どうか、妙な噂になっていませんように。
どうか、金曜日の目撃者達が話に尾ひれをつけて膨らませていませんように。

そう神様に祈ってみたものの、願いは届かなかったようだ。
教室に入ると、一瞬だけ皆の視線が集まった。
理恵子ちゃんたちは、私をチラチラ見ては、コソコソと何か話している。
ああ、誰がどう流したかわからないけど、金曜日の出来事は広まってるんだな…。
沈鬱な気分で席に座ってすぐに、愛実が教室に来て、荷物も置かずに私のところへ直行した。

「おはよう、沙菜」

「おはよう」

「大丈夫？」

「あ、何か聞いた？」

「昨日理恵子からメールが来たんだ。
沙菜は人の彼を略奪する酷い女だから気をつけた方がいいって」

ガク…。
机に突っ伏してしまった。

「沙菜、やっぱり蓮君と付き合ってるの？」

「違う違う」

「だよねぇ。逆恨み？」

「一体どんな噂が出回ってるの？」

思った以上に深刻な事態になってるのかもしれない。

「出所は知らないけど、沙菜が麻賀さんから蓮君を無理矢理奪ったって話になってるらしいよ。
金曜日、バトルしたんだって？」

「あれはバトルとは言わないよ。一方的に炸裂されただけだよ」

大きなため息が出た。
そこでチャイムが鳴る。

「後で詳しく聞かせて。私は沙菜の味方だからね」

にっこりと愛実は笑ってそう言ってくれた。

「ありがとう～」

感激。
本当に涙が出るほど嬉しかった。