幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

家に帰り、着替えてお母さんに蓮の家で夕飯準備を手伝うと伝えてから、すぐに北河家に向かった。
チャイムを押すと、「はい」とインターフォンから竜の声が聞こえた。

「どーも」

カメラ越しに片手を上げる。

「え!沙菜っち、どうしたの?」

「竜のお兄様に頼まれまして」

「ちょっと待ってて!」

バタバタと家の中から足音がして、すぐに玄関のドアが開いた。

「いらっしゃい!どーぞどーぞ!」

竜は笑顔。嬉しそう。

「今日おじさんもおばさんも遅いんだってね」

「うん。でも晩御飯は作ってくれてるんだ」

「知ってる。蓮に準備するように頼まれたから来たんだよ」

そう言いながら台所に向かう。
うちと色だけが違う、全く同じつくりの台所。
ふんふん、この鍋がスープで、ご飯は炊けて保温になってる。

「おかずは冷蔵庫かな?」

「うん」

「開けていい?」

「いーよ。手伝う」

そう言って、竜は一緒に冷蔵庫を覗いてくれた。

「レンジで温めるだけだね。なんだ、すること殆どないじゃん」

拍子抜け。
でも、竜が喜んでるからいっか。
まだ時刻は6時半で、温めるには早い時間。
私は竜とテレビを観て時間をつぶし、頃合いを見て夕食準備を始めた。
7時過ぎてすぐに蓮が帰ってきた。

「おかえり~」

蓮が帰ってきて嬉しそうな竜。
かわいい。

「お、もうできてる。着替えてくるから待っててくれよな」

「兄ちゃん早くして」

「へいへい」

言葉通り、すぐにTシャツとジーパンに着替えた蓮がリビングにやってくる。

「いっただっきま~す!」

蓮がテーブルに座るのを待ち構えたように、竜が食べ始めた。