幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

なんだか、すごいショックだ。
中学3年で蓮が奇跡の変化を遂げてからというもの、何度女子たちから幼馴染であることを責められただろうか。
しかも、責め立て方が、正に今、ありすちゃんが言った理由なんだからたまらない。
優越感と上から目線。
どうしてそう受け取られるのだろうか。

去年は散々悩んだ。
でも、結局、隣人として蓮に関わり続ける以上は、幼馴染という事実だけで責める人は責めるのだ。
それが、悩んだ末に出した答えだった。
そうでも思ってなければ、自分に否があると自己嫌悪に陥っちゃうから。
だけど、ありすちゃんもそうだなんて…。

「あ…、ごめんなさい…。私、不安でつい……」

私はどんな顔をしていたんだろうか。
ありすちゃんは慌てて謝ってくれた。

「ううん、私もごめん。
私付き合ったことないから、そういうの良くわかんなくて」

「え!そうだったの?」

「うん。見たまんまでしょ?」

「ううん、沙菜ちゃん、とっても可愛いよ」

なんか、本物の可愛い女子に言われると、嬉しいような気まずいような…。

「ありがと。ありすちゃんにそう言ってもらえると、少しだけ自信がつくね」

一応お礼を言うと、ありすちゃんはなぜか不思議そうに首をかしげた。

「あのね、沙菜ちゃん」

「なに?」

「お願いしてもいいかな?」

「なにを?」

思わず身構えてしまう。
謝ってくれたありすちゃんを信じたいけど、この流れ、どうにも良くない方に行ってしまいそうで。

「蓮に私のことどう思ってるか聞いてくれないかな?」

言いづらそうに、でもありすちゃんはきっぱりとした言葉を選んだ。
それは…。

「ごめん、無理」

絶対無理だ。
こういうことに首を突っ込んではいけない。
それは去年痛いほどに学んだんだから。