幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

「ねえ、沙菜ちゃん、また話聞いてもらっていいかな…」

おずおずと、ありすちゃんが私にそう言ってきたのは、ダブルデートから2週間経ったころだった。
部活を終えて美術室を出たら、ありすちゃんが待ち構えていたので驚いた。

「どうしたの!?」

「お願い、沙菜ちゃん!」

ありすちゃんは手を合わせて拝むようなポーズで頭を下げてきた。

「誰?」

部活仲間が聞いてくる。

「私知ってる。蓮君の彼女でしょ?」

別の仲間がその問に答えた。

「ごめん、私今日パスするね」

放課後マックに誘ってくれた仲間達に頭を下げて、ありすちゃんの手をひっぱった。

「聞いてくれるのね!」

パッと顔を輝かせるありすちゃん。

「あのね…」

「ありがとう!沙菜ちゃん!」

言葉を途中で遮られ、喜びの感情を抱きつく行動で表現されてしまった。

「うわっ、ちょと…!」

「あ、ごめん。もう、私、沙菜ちゃんしか頼る人いなくて…」

「とりあえず、場所変える?今日は学校の中でいいかな?」

深入りしたくなくってそう言った。

「うん。どこでも」

「じゃあ、ありすちゃんの教室は?」

「えっと…、誰か来ないかな?」

「じゃあ、食堂とかは?」

売店はやってないけど、生徒達が休めるように開放されている。

「うん、そこでいいよ」

「決まり」

私たちはそのまま食堂へ向かった。

「で、どうしたの?」

なるべく短時間で終わらせたくて、食堂に着くやいなや本題に入る私。

「あのね、蓮が告白されたの」

「ああー…」

「沙菜ちゃん、もしかして知ってた?」

少し怪訝そうに私を見るありすちゃん。

「ううん、知らなかったけど、中学のときもそういうことあったなって思って」

「そうなんだ…。それもね、1人じゃないの。3人も」

3人…。蓮、今モテ期のピークだな…。

「ありすちゃんはどうしてそれを知ったの?」

素朴な疑問だった。
馬鹿な蓮が、自己申告でもしたんだろうか。