幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

昨日いきなり不機嫌になった蓮。
今日は朝私の自転車に乗らないだろうと思っていたら…。

「よ」

玄関を出たら、既に蓮がスタンバっていた。

「おはよ」

一応挨拶を返すことにする。

「ほらよ」

昨日のノートを渡された。

「ありがとうくらい言えないの?」

つい難癖つけながら、ノートをカバンにしまった。

「じゃ、今日もよろしく」

「あ、乗るんだ…」

「なんだよ」

「昨日突然態度急変するから、何か怒ってるんだと思った」

そう言うと、蓮はさっと目を逸らしたけど、それも一瞬。

「べっつにー!怒ってねーし。
仮に怒ってたとしても、それとこれとは別次元だし」

「なぜに偉そう?」

どこまでもふてぶてしいやつめ。
ま、いっか。やりあっても疲れるし。

「じゃ、行くよ」

「おう」

そして今日も、蓮を乗せて自転車をこぐ私なのだった。

「はい。到着。あー疲れた…」

「今日もご苦労」

「あれ?今日ありすちゃんいないね。
どうしたんだろう。昨日やっぱり具合悪かったのかな?」

「ホントだ。じゃ、先行くか。後でLINE送っとこ」

心配するそぶりも見せず、薄情なことを言う蓮に、一言物申したくなった。

「蓮、少しここで待っててあげたら?」

「は?なんで?」

「ちょっと寝坊しただけかもしれないし、もう少ししたら来るかもしれないじゃない」

「来ねーかもしれないぞ」

「それでも、いつも一方的に待たせてるんだから、たまには蓮が待ってあげなよ」

まったく乙女心のわかってないヤツだ。

「めんどくせえ。余計なお世話」

蓮は私の助言を無視して行ってしまった。
な…なんてやつ!
蓮め、少し調子に乗ってるんじゃないの!?

本当はヤツの女性関係に口出しなんかしたくない。
でも、あまりにもダメ過ぎるから、つい言ってしまった。
言って後悔。もう二度とアドバイスなんかするもんか。
それに、ありすちゃんも私が何か口を挟むことを嫌がるだろうし。

「はぁ…」

無意識に、大きなため息が出た。