幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

木田君の言葉の意味を考えつつ、若干混乱しながら家路に着いた。

「ただいま~。お腹すいたー」

もう考えるのはやめよう。
早くおいしいお夕飯が食べたい!

「おかえりなさい」

「おかえり」

「おかえり沙菜っち」

「おせーじゃねーか」

あ、あれ?
私の家族以外の声がするぞ。
蓮と、蓮の弟の竜(リュウ)だ。
竜は9歳。蓮とは6つ離れている。

「なんでいるわけ?」

リビングに行くと、当たり前のようにソファに寛いでいる蓮と竜がいた。

「竜が三波家にお世話になってるっていうから迎えに来たら、オレまで夕食ご馳走になったってだけだ」

蓮の母親の啓子さんは、竜が幼稚園に入園と、専業主婦をやめて正社員の仕事に就いた。
以来、ときどき二人がうちで夕食を食べるようになった。
蓮の両親はどちらもサービス業で、土日休みとは限らないし、遅番の日は帰りが遅いんだよね。

「蓮、ありすちゃんは?」

「ああ、乗り物に酔ったみたいだ。家まで送ったよ」

「大丈夫なの?」

「家に着く頃にはかなり元気になってたよ。家族総出で迎えられて、家にお邪魔までしちゃったよ」

「あ、そうなんだ」

いきなり親公認の仲ってわけか。

「夕食も是非って言われたけど、どうにも緊張して居心地悪いから、丁重に断って帰ってきた」

「ご馳走になってくればいいのに。ありすちゃんも喜んだだろうに…」

気の行き届かないヤツ。
木田君とは大違いだ。

「いきなり夕食も一緒ってキツクねー?オレはやっぱりこの家が一番落ち着くぜ」

「僕も」

食後のデザートのイチゴをモグモグしながら竜も頷いた。