幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

待ち合わせした急行の停まる駅に着いた。
木田君はこの駅から徒歩圏。
私は次の各駅停車に乗り換え。

「じゃあ、また明日、学校でね」

「各駅来るまで一緒に待つよ」

「なんて紳士的なんだ…」

心から感心すると、木田君は照れ笑いした。
か、可愛いぞ。

「あのさ、三波さん」

「どうしたの?」

「俺、部活ばっかりだけど、また今度一緒に遊んでくれる?」

「もちろん!皆で遊ぶの楽しいもんね。クラス違っても良ければ喜んで」

木田君みたいな紳士なら大歓迎!

「いや、えーと、そうじゃなくて…」

急にしどろもどろになる木田君。
どうしたんだろう。
首をかしげて続きを待っていたら、電車が来てしまった。

「じゃあ、またね」

「二人じゃ嫌かな!?」

「え?」

今なんて言った?
電車の音がうるさくて良く聞こえなかったよ。

「俺とまたデートしてください!」

「はい?」

あっ、電車の扉が開いちゃった。
慌てて飛び乗る。

「あ、ありがと。また明日」

そう言ったら扉が閉まっちゃった。
手を振ってみると、木田君も笑顔で手を振ってくれた。

さっき、木田君は何と言ったんだろうか。
半ば呆然としながら電車の中で考えた。

「デートしてください」って言ったよね。確かに。
私とってことだよね。どう考えても。

ん?
んん?
んんんんーーーー!?!?
も、もしかして、木田君が私を気にしている、というのは本当ってこと?

い、いやいや。逸るな私。
どう考えても木田君はモテるでしょう。
接点がなかった私が、モテモテ木田君(勝手に断定)に一方的に気に入られる材料が見当たらない。

女の子として生まれて15年。
私はモテたことがない。
告白されたこともなければ、噂が持ち上がったことすらない。
だから、勘違いしないようにしなくっちゃ。
沙菜、身の程はわかっているわよね。