幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

「いや、それはどうでもいいんだけどさ…」

「ん?なに?」

「ううん、なんでもない。さあ、次は何乗ろうか」

そう言って、スマホでパーク地図を表示する木田君。

「そうだね~」

そのスマホを覗き込む私。

「これは?ギリギリヒュー・ストン」

「うっ、恐そう…俺、落ちる系は苦手なんだよね…」

「そっか。じゃあ別のにする?」

そう言って木田君の顔を見ると、びっくりしたように身を引かれてしまった。
しまった。距離感間違えたかな。

「いや、大丈夫。チャレンジするよ」

「無理しちゃダメだよ」

「大丈夫!」

木田君はすぐ笑顔になった。
そして、結局閉園時間ギリギリまで遊んでしまった。

「今日は遊んだねー!」

久しぶりに1日ガッツリ遊んで、ものすごい充足感。
私と木田君は、閉園の音楽が流れる遊園地を入退場門に向かって歩いていた。

「満喫したなぁ」

「木田君、乗り物強いんだね。運動神経もいいの?」

「どうかなぁ。でも、絶叫系は好きだな」

「バレー部なんだよね。今日部活なかったの?」

「日曜日は休みなんだ」

「日曜日だけ!?」

「運動部だと普通だよ」

いや週6部活ってめちゃくちゃ大変。
美術部は基本平日のみだもん。

「そんな貴重な休みに付き合わせちゃってごめんね」

「いやいや付き合ってもらったのは俺の方だよ。今日は楽しかった。ありがとう」

くぅ~!木田君ってどこまでいい人なんだろう。

「いえいえ、こちらこそありがとうね」

そう言うと、なぜか木田君は目を逸らした。

「腹へってない?」

「うん。へってる」

「夕飯何か食べていく?」

「あ、ごめん。家に用意があるし、正直金欠なんだ」

「そっか…。残念」

「木田君、もしかして夕飯いらないって言ってきちゃった?」

「いや、そういうわけじゃないから大丈夫だよ」

「良かった。じゃ、帰ろ」

今日午後からずっと二人で過ごしたけれど、帰りの電車でも会話が途切れることなく、とても楽しかった。
木田君の社交力めちゃくちゃ高い。

そう言えば、これってデートだよね。
私、男の子と二人で遊ぶの今日が初めてだよ。
おっと、蓮は除く。あいつは私の中では男の子じゃないから。
今日1日、自然に楽しく過ごせたのは木田君のお陰だな。