「木田君って、すっごい気配り上手だよね」

しみじみと褒めてしまった。

「え、そうかな」

木田君照れてる。

「優しいって言われるでしょう?」

「そんなこと、言われたことないよ」

「え~、またまたご謙遜を」

つんつんと突っついてみる。
すると、木田君の顔がたちまち赤くなった。
あはは。かわいい。

「三波さんって、思ってた印象と違うね」

「そう?どんな印象だった?」

「もっとおしとやかな人だと思ってた」

「うん。良く言われる」

私の唯一の自慢、ストレートロングの髪。
この髪のお陰で、勝手に乙女なイメージを持たれるんだよね。
親しい友達には「詐欺だ」って言われるけど、それは余計なお世話ってやつだ。

「でも、今日みたいな三波さん、好きだな」

「ありがと~!」

さすが気遣い上手の木田君。
フォローもバッチリだね。
その後、木田君とアトラクションに乗りまくった。
4時過ぎやっとジュースを飲んで休憩していたところに、LINEが届いた。

「あ、れ…、北河君からだ」

「なんだって?」

「え~と、………大丈夫かな?」

「どうしたんだ?」

「ありすちゃん、気分悪くなっちゃったから、先帰るって」

「そうか、心配だね」

「あいつ、調子に乗って引っ張り回したんじゃないかな。
送っていくって書いてあるから大丈夫だと思うけど、私たちはどうしよっか」

そう聞くと、木田君は少し困った顔をした。

「二人が帰ったなら、私たちもそうする?」

「三波さんは帰りたい?」

「私はどっちでもいいけど、二人がいないんだから、ここにいる理由もないかなって。木田君も、二人に付き合って来たんでしょう?」

このとき、私の中で木田君が自分に気があるという情報はタテマエということになっていた。

「もし、三波さんが嫌じゃなければ、もう少し遊んでいかない?」

「うん。いいよ。フリーパスもったいないもんね」

元を取らなければ!