これ以上蓮と話すと、イライラが爆発しそうだから、言葉少なに待ち合わせ場所に向かった。
駅のホームに降りると、ありすちゃんと木田君はすでに来ていた。

「おはよう」

「おはよう。うっわ~!ありすちゃん、かっわいいー!!」

出会い頭に思わず絶賛してしまった。
ありすちゃんはデニムのショートパンツに、ピンクでリボンの付いたキャミソール、その上に真っ白の薄手のカーディガン、靴は歩き易そうなサンダルを履いている。
バッグは小さめのショルダーで、長い髪はツインテール。

すんごい可愛い。
あ、蓮が見惚れてる。

「沙菜ちゃんも学校とイメージちがうね。可愛い」

「本当だ。あまりボーイッシュなイメージなかったけど、似合ってる」

心優しきありすちゃんと木田君に褒められてしまった。
日頃蓮に貶されてばかりだから、どう反応していいのかわかんない。

「いや、なんか、すいません」

何となく謝っちゃった。
そこへ急行の電車が来る。

「行こう」

ありすちゃんに釘付けだった蓮は、彼女の手を握り電車にエスコートした。

「俺たちも行こっか」

「うん」

私も木田君に続いた。

電車の中でも、遊園地に着いてからも、私だけ違うクラスで、話題に置いていかれることがあった。
でも、それに木田君が細かく気付いてくれ、別の話題を出してくれる。
木田君って本当に気遣い屋さん。
もしかしたら、かなりモテるんじゃないだろうか。
やっぱり私が気になるというのは後付の理由で、ありすちゃんに協力してるだけじゃんじゃないのかな。

午前中は4人で相談しながらいろいろなアトラクションに乗った。
蓮はもうありすちゃんに夢中で、傍にいたくていたくてたまらないみたい。
ランチのために席をとると「おまえら座ってろよ。オレたちが買ってきてやる」とか言って、ありすちゃんと売店に並んでいる。
手を繋ぎ、顔を近づけて何かを話しては、笑い合っている蓮とありすちゃん。
どこから見ても、美男美女のフレッシュで初々しいカップルだ。

なんだか少しだけ気が滅入ってきた。
やっぱり、私が協力なんかしなくても、二人は充分ラブラブじゃないか。
蓮も馬鹿なヤツだ。
そんなにありすちゃんのことが好きなんだから、バイト減らせばいいのに。