「そっか、蓮君とお隣さんっていいな。すっごく羨ましい」

いや、不便なことばっかりなんですけど。
という本音は飲み込んで、必死にありすちゃんを励ました。

「ありすちゃんが聞けば、蓮も教えると思うよ」

「蓮?」

あ!またまたしまった!!
学校の人といるときは、蓮じゃなくて北河君って呼んでたのに。
私は馬鹿だ…。

「ねえ、お願いがあるの」

私の狼狽を他所に、ありすちゃんは話題を変えた。
気にしてなきゃいいけど…。

「なにかな?」

「あのね、一緒にデートしてくれないかな?」

「はい?」

目が点になる。
今何と言いましたか?

「私がありすちゃんとデート?」

「ううん、そうじゃなくって。
私たちのデートに付き合ってほしいの」

「はぁ!?」

ビックリな提案に、思わず大きな声が出ちゃった。

「いやいやいやいや、そりゃおかしいでしょ。保護者じゃあるまいし」

なんで蓮とありすちゃんのデートに引率しなきゃなんないの。

「あ、そうじゃなくって、沙菜ちゃんにもちゃんと相手を用意するから、皆でどこかに行きたいの」

「ますます意味がわからないんだけど…」

「実はね、私のクラスに、沙菜ちゃんの事気になってる男子がいるんだ」

「…………は?」

唐突な話に、間の抜けた声が出てしまった。
なんだなんだ、この展開は。