幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

「もう!勘弁してよ!蓮は女の子とくっつくの慣れてるかもしれないけど、私は違うの!」

「なに言ってんだよ。沙菜だって木田と付き合ってたじゃねーか」

「何もしてないもん」

「え?マジ?」

あ、しまった。言わなきゃ良かった。
蓮の目がキラっと光る。

「キスもしてねーの?」

キスどころか、手も繋いでないけど、なんとなく悔しくて言いたくない。

「やった!沙菜の初めては全部オレのもんだな」

「はぁ!?だから付き合わないって言ってるでしょ!」

「いや~、さっきのキスのときの沙菜は、オレと付き合いたいって顔してたぜ」

「な、なによ、その顔。エロい!」

とにかく蓮の腕の中から逃げなければ。

「とりゃ!」

思いっきり蓮の脇に自分の手を差し込んでやった。

「うっひゃぁ!」

おかしな声をあげて私から腕を離す蓮。
よっしゃ!すかさず飛び退く。
蓮はちっちゃなころから脇が弱点なんだよね。

「しばらく蓮の気持ちが本物なのか、静観させてもらうからね」

「ありえねえ!」

「自業自得。付き合うのは、私の信頼取り戻してからかな」

「何様だよ」

「沙菜様ですけど?」

そう言って自転車をひいた。

「それに、付き合ったとしても、節度を保ったお付き合いだからね」

「うっそ!そりゃねーよ」

「うちのお父さんに殺されたい?」

蓮は無言になった。

「あはは。成人式まで我慢してね」

「本気かよ!?」

とか言いながら、蓮は私の後ろにくっついてきた。

「乗ってくでしょ?」

公園の外に出て、自転車にまたがった。

「じゃあ、今回は無賃乗車でな」

「いいわよ。今回だけね。明日からはまた片道250円だからね」

「さり気無く値上げすんじゃねー」

「文句があるなら電車でどうぞ」

「ちっ!相変わらずがめつい!」

「行くよ~!」

私はぐっとペダルを踏んだ。