幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

「じゃあなに?オレたち相思相愛だったってわけか?」

「ま、そういうことでしょうね」

なんだろう、現実感がない。
嬉しいは、嬉しいんだけど。
なんか、夢みたい。
もう何ヶ月もずっと嫌われてると思ってたし、避けてきたから、どうしていいかわかんない。

「それなら、オレたち付き合うってことで、いいんだよな」

なによ、その言い方。

「そうとは限らないでしょ」

だから冷たく突き放しちゃった。

「は?なんで?沙菜はオレのこと好きなんだろ?」

「そうだけど、今までの蓮の言動見ちゃってるから、即付き合うのはためらっちゃうかな」

「なにぃ!?」

不満さを隠さない蓮。

「ほら、ファンも恐いし」

高校生活平和に過ごしたいし。

「納得いかねー」

むくれる蓮を見て、なんだか余裕が出てきちゃった。
少しずつ、前の調子を取り戻す。

「とりあえず、前に戻ろうよ」

「前ってどんぐらい前だよ?」

「高校入学くらい前」

「意味わかんねー」

「仲の良い幼馴染に戻って、そこから始めよう」

「やだね。納得できねーよ」

蓮ってば、駄々っ子みたい。
そうだ、そうだった。
蓮は小さな頃、こうやっておばさんに甘えてた。
やだやだって。
不機嫌な蓮の表情の中に、幼かった頃の面影を見つけて、思わず笑顔になった。