幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

「ちゃんとだぁ!?」

うろたえる蓮。
私はもう無言を決め込んだ。
蓮はひとりで慌てふためき、「ちっ!」とか「言えるか」とかブツブツ言っていたけど、ず~っと何も言わずに見ていたら、ついに観念した。

「オレが好きなのは…」

そこまで言って躊躇する。

「くそっ!どうして嫌われてるってわかってるのに言わなきゃなんねーんだよ!」

そっか…。
蓮は、私が心の事を嫌いだって思ってるんだ。
でも、私の態度はそう思われても仕方ない。
だって、私だって蓮に嫌われてると思ってた。
嫌われている相手に、それでも好きな気持ちを見せれるわけないよね。

「嫌いじゃないよ…」

だから小さく言葉にした。

「蓮のこと、嫌いになれるわけないじゃない」

だって、生まれた時から一緒に育った家族みたいに近い人なんだから。

「私の好きな人って、蓮のことだよ」

決して悟られまいと、今まで必死に隠してきた気持ち。
するっと素直に口から出た。
蓮は私を凝視した。

「冗談?」

「この状況で?」

「罠?」

「まあ、しかけてやりたいとは思うけど」

「マジ?」

こくんと私は頷いた。

「はぁぁぁ!?!?」

顔を崩し、思いっきり脱力する蓮。

「なんだよ、それ。わっかりづら…」

「蓮こそ」

「いつから?」

「蓮はいつから?」

「わかんね!」

「じゃあ、私もわかんない」

「なんだよ、それ」

「だって本当だもん」

蓮のことはずっと大好きだった。
でも、いつからそれが恋に変わったのかわからない。
気付いたのは夏。
でも、もっとずっと前からだったのかもしれない。