幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

「いいから、早く腕離してよ」

未だ掴まれた腕から、蓮の体温が伝わってきて落ち着かない。
離してと言ったのに、蓮の手に力がこもった。
と、思ったら、グイっと引き寄せられる。

「いやっ!!」

キスされる!
そう思って、思いっきりもう片方の手で蓮の顔を遮った。

「いてっ」

「そういうの、イヤなの!」

もう、気持ちのこもっていない強引なキスは絶対にイヤ。

「カッコイイからって何してもいいと思ってるの?
蓮のファンならキャーキャー言いながら喜ぶかもしれないけど、私はこういうのイヤなの…」

「もうしてねーよ!」

蓮が叫ぶ。
耳が痛い。
でも、そんなことより心の方が痛かった。

「確かに、夏辺りから色々やったよ。
ぶっちゃけセックスは気持ちいいからな。ハマッた。
女子たちはチヤホヤしてくるし、やりたい放題だったよ」

「やっぱり最低」

聞きたくない。そんな話聞きたくない…!

「でもやめた。結局好きな女じゃなければ面倒なだけだ」

「え…?蓮、好きな人いたの?」

「おめー馬鹿か?ここまできて、わかんねーの?」

いや、その、まぁ…。
この展開だと、ラブコメの定番ならば蓮の好きな人は私ってことなんだろうけど…。
でも、今までのあまりに酷すぎる扱いの説明がつかなくない?
だって、もう夏休み前からずっと、言葉を交わすことなんて殆どなかったし。

「ああ、くそっ!言う気なかったのによ!」

一人イラつく蓮。
私は現実についていけず、ポカンとしてしまった。

「で、沙菜の好きな男って誰なんだよ」

いきなり話を戻す蓮。

「木田のことじゃなかったんだろ?じゃあ、誰だよ」

「そんなの、教えるわけないじゃない」

「はぁ!?オレが白状したってーのに?」

「白状って、なにが?」

「お、おまえっ!本気でわかんねーのか!?」

「ちゃんと言ってもらわないと」

だって、蓮は難しい。
しっかり蓮から言葉を聞くまで、確信なんかできないもん。
だけど、ちょっとだけ、ほんの少しだけ、今まで蓮がやったこと、許してあげてもいいかな、なんて思ったりして。
でも、油断禁物、だよね。