幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

「それって木田のことだろ?
それとも、もう好きじゃなくなったってことか?」

「木田君のことを言ったんじゃないわ」

「じゃあ、誰なんだよ」

「蓮には関係ないんだからほっといて。もう帰る」

蓮なんかおいて帰ろう。
私は自転車のカゴから蓮の荷物を放り出す。

「おい、こら!」

無視!

「話途中だろ」

ぐっと腕を掴まれた。

「もうっ!離してよ!」

「なんだよ!」

「蓮には関係ないって言ってるでしょ?
どうしてこんなにしつこいのよ!
ただの幼馴染が踏み込む領域じゃないんだから!」

「ただの幼馴染じゃねーよっ!」

「また屁理屈?」

もう!イライラする!

「単なるお隣さんだったら、ここまで気になるわけねーだろ!」

……ん?

「わざわざ事実確認なんかしねーよ」

あ、あれ?
なんか、ニュアンスが…。
気のせいかな?
まじまじと蓮の顔を見たら、無言になってしまった。

「じゃあ、なに?」

「はぁ!?」

「ただの幼馴染じゃなかったら、何なの?」

「そ、それは…、雇い主だ」

は?
馬鹿?
蓮は大バカヤロウ?

「とっくに雇用関係は解消されてるはずだけど」

「一方的な乗車拒否だからな」

「雇用関係に、プライベートの報告義務はないと思うけど」

「そうかもしれねーけどよ」

「でしょ?やっぱ帰る」

なんか蓮が挙動不審。
まさか、まさか…ね
変な期待を抱かないように、早くここから遠ざかった方が良さそう。