3学期2日目。
部活が終わり、荷物をとりに自分の教室に戻って驚いた。
女の子に囲まれて、なぜか私の席に蓮がいる。

何?どういうこと?

理解不能で、教室に入ることもできず、入り口に突っ立っていると、蓮が私に気付いた。

「よう」

よう、じゃないよ…。
蓮の目的がわからず、何も言えない。

「荷物、これだろ?」

蓮は机の横にかかっている私のカバンを手にした。
蓮の周りにいる女の子たちの視線が痛い…。
もう!何考えてるの!?

「時間潰しに付き合ってくれてありがとうな」

女の子達にお愛想振りまきながら立ち上がる蓮。

「沙菜、コートは?」

「え、ああ…」

私はやっと教室に入り、ロッカーからコートを取り出した。

「行こうぜ」

蓮は私のカバンを持ったまま女の子たちに手を振り、教室を出て行ってしまった。
なんというマイペース。
興味津々で私を見るクラスメイトたち。

「ねえ、あいつ何か言ってた?」

企みが恐くて、蓮と一緒だった女の子達に聞いてみた。

「え?うちの用があるから一緒に帰るんじゃないの?」

「なんのことだろう…?」

思わず呟いた後、自分の対応が間違っている事に気付いた。

「あ!思い出した!そうそう、そうだった。じゃあ、みんなバイバイ」

なんのことかさっぱりわからなかったけど、とりあえず合わせておいた方がいい。
教室を出て、蓮を追いかけた。
蓮は下駄箱のところで待っていた。