幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの?

2学期も終わり、今日はクリスマスイブだ。
サービス業の両親は、こういったイベントの日は休めない。
それでもオレと竜が小さかった頃は、母ちゃんがなんとかスケジュールをつけてくれることもあったけど。
ここ数年、クリスマスイブはもうずっと、三波家で過ごすのが恒例だった。

だけど、今年は違う…。
竜は昼から三波家に行ったが、今年オレは立ち入る気はなかった。
当然だ。
どの面下げて、沙菜の前に出ればいいっていうんだ。
マスターに言って、ギリギリまでバイトを入れてもらった。

それでも、12時から途中休憩挟んで夜9時までがいっぱいっぱいで、だけど、優しいマスターはオレが今日家に一人だと言うと、その理由も聞かずにスペシャルメニューの夕食をサービスしてくれた。
ここの喫茶店はカレーがうまくて評判だが、そこにカツとハンバーグをのっけてくれたんだ。
すっげぇボリューム。
でもって、超うめぇ!

腹も減ってたからガツガツと食べたが、これが食べ終わったら帰らなければならないことに気付き、途中からなるべく時間をかけるようにして食べた。
それでも20分もあれば食べ終わってしまい、食器を下げて、マスターの周りでうだうだしていたが、10時近くになり、ついに帰るよう促されえしまった。

「おまえの両親から預かってるんだ。これ以上帰宅を遅くするわけにはいかん」

マスターに言われ、その上真っ直ぐ帰るよう念を押されてしまった。
オレはとぼとぼと家までの道のりを歩いた。
我が家が見えてくる。
玄関の電気すらついていない真っ暗な我が家が。

対照的に、三波家は明るい。
竜はまだ三波家なんだろうか?
迷惑かけない時間で引き上げるよう言っておいたのに。

案の定、玄関の鍵を開けて中に入ったが、竜がいる様子がない。
とりあえず、オレは風呂の湯をつけた。
あと1時間くらいで母ちゃんが帰って来る。