幼馴染に彼女ができたけどなんで私が嫉妬されてるの？

それから数日後、木田から報告があった。
沙菜に告白してOKをもらったと。

そして、あっという間に二人は公認の仲になった。
沙菜がオレのクラスにくることはあまりないが、木田は昼休みに沙菜のクラスに通うようになった。
二人が歩く姿も良く見かけるようになった。

自分が木田を煽った結果だというのに、毎日が苦しくて仕方ない。
オレに群がってくる女は履いて捨てるほどいるのに、寂しいという気持ちが払拭できない。
なんて馬鹿なことをしてしまったんだろう。

「沙菜が木田を相手するわけねーだろ。あいつモテモテなんだから、もっといい男じゃねーと、ムリムリ」

そう言えば良かったんだろうか。それとも、

「沙菜のどこがイイワケ？趣味悪いなー。
沙菜って超性格キツイんだぜ。他に可愛い子たくさんいるだろ？
木田のこと好きな女、案外多いんだぜ。知らないのかよ」

とでも言えば良かったんだろうか。
いや、違うだろうな…。
気付いていないだけで二人は相思相愛だったんだから、オレが何を言っても何も言わなくても、いつかは付き合うことになっただろう。

木田と一緒にいるときの沙菜を見るのは本当に辛かった。
寛いだ笑顔。
今年の春まで、オレが毎日見ていた沙菜の顔だ。
今、決してオレに向けられることのない沙菜の笑顔。
木田のために微笑む沙菜。

気が狂いそうだった。
あいつら、もうキスくらいしたんだろうか。
考えたくないのに、沙菜が木田にキスされている姿を想像してしまう。

だけど、残念だったな。
沙菜のファーストキスの相手はオレなんだ。
オレと沙菜は、お互いが初めてのキスの相手なんだ。