貴方に焦がれて、恋をする。

「で、ここが秋森学園ね」

「本当に本当にありがとうございました………!」

「大袈裟。そろそろ入学式始まるから急ぎな」

「は、はいっ……!」

 私は急ぎ足で入学式が行われる体育館に向かった。



 よかった……、間に合ったっ………。

 あの人のおかげだ………。

「1年生のみなさん、ご入学おめでとうございます」

 あ、始まったっ………。

「私達教員は、みなさんが輝かしい高校生活を送ることを、心から願っています」

 い、いかにも入学式っぽい言葉っ…………。

 前で話してる人は、校長先生かな………?優しそうな人……よかったっ………。

「在校生代表挨拶、由鷹 海翔(ゆたか かいと)

「はい」

 由鷹と呼ばれた人が壇上に上がる。

 あっ、さっき助けてくれた人っ………。

 由鷹さんっていうんだ………。

 在校生代表ってことは……生徒会長さんか何かかな?

 そんなにすごい人だったんだっ………。

「みなさん、秋森学園へようこそ」

 ニコッ、と微笑む由鷹さん。

 その瞬間、女子達がザワッとしたのが分かる。

 すっ、すごい………。学園内でも人気ありそうっ……。

 確かにかっこいいし、すごく親切だったし………。

 人気があるのも自然に頷ける。

 そんなことを考えてる間にも、在校生代表挨拶は続き。

 気がつけば、在校生代表挨拶も終わりに差し掛かっていた。

「先生方と同様、私達生徒もみなさんが輝かしい高校生活を送ることを、心から願っています。分からないことや不安なことがあれば、先生や私達生徒を頼ってください。それでは、みなさんが輝かしい高校生活を送れますように」

 由鷹さんが壇上から降りると、体育館中に拍手が響き渡る。

「あの人マジかっこよくない⁉」

「え、マジそれな⁉私狙っちゃおうかな~」

「いや、めっちゃかっこいいし、彼女いそうじゃない?」

「え~、やだ~」

 女子たちがそんな話をしているのが聞こえる。

「続きまして、新入生代表挨拶、花笠優芽」

 体育館内のザワつきを鎮めるように私の名前が呼ばれる。

 あんなにも凄い人の後の挨拶だったこともあり、不覚にも手が震えてしまう。

「はいっ」

 自分自身を落ち着かせるように、少し目を瞑って、深く深呼吸する。

 そして、目を開ける。

 よかった………緊張も、少しは収まった。

「本日は、私たち新入生のためにこのような入学式を挙行していただき、誠にありがとうございます」

 それから、家で必死に考えてきた挨拶を精一杯読んだ。

「以上をもちまして、新入生代表の挨拶とさせていただきます。ご清聴いただき、誠にありがとうございます」

 最後に、ステージの上からお辞儀をする。

 …………ちゃんと、できてたかな………。

 まだ、緊張の余韻で手が震えている。

 そこから、先生方からのいくつかの説明があり、 入学式は幕を閉じた。