「なんか私、今ので、家族って言葉が怖くなりました」 「なんだ。 愛だろ、愛」 と言う充悟はキャリーバッグを持ってくれ、杏奈がショルダーバッグを持ってくれる。 おかげで、なにも持つものがないまま、三人で玄関ホールへの階段を下りていた。 すると、朝、帰ってきたらしい望都子がホールのソファで水を飲んでいた。 こちらを振り返り、酔った顔のまま、笑って言う。 「あら、晴乃さん。 それ持ってお嫁に行くの?」 簡素すぎる……。