それから数日後の早朝。 晴乃は、ぎゅうぎゅうと詰めたキャリーバッグの中身を確認していた。 着替え、歯ブラシ。 ……カップ麺とかいるかな。 いや、食事は宿に頼んだったんだった。 どうもあのうら寂しい感じの自炊用の食料品が並んだ売店が目に焼き付いて……。 コンコン、と誰かがノックした。 「はい」 と言うと、杏奈が立っていた。 「おねえさま、もう旅立たれるの?」 晴乃は壁の時計を見、 「充悟さんが迎えに来たら。 杏奈、もう起きたの? 早いね」 と笑う。 だが、杏奈は笑ってはいなかった。