イヤホンから聞こえる博ツキくんのさけび声にちょっと元気が湧いて、体を起こす。
「あのね、私、Gold Nightで勝負するって言ったでしょ」
「うん。で、負けたから今日も学校来てんでしょ?」
「そうなんだけど、そうじゃなくて…」
「意味わからん」
私は茜に、帝さんのやさしさで再挑戦のチャンスをもらえたけど、その勝負の内容が心を落とし合う特殊なゲームだったことを説明した。
今のところ、職場の人からアドバイスをもらって、帝さんの意表をつく変わったことをしてるんだけど、というところまで話して、肩を落とす。
「うちの専属の歌姫さんがさ、帝さんに、こう…スキンシップとかしてて、美人なお姉さんなのに、帝さん無反応で」
「ふーん。結花にはライバルがいるってわけ?あの帝さまを恋愛対象として見るなんて、ずいぶんと身のほど知らずなのね、うわさの歌姫って」



