《うわぁ…え、これここ進まなきゃいけないの?真っ暗だよ?いったんもどって別の道探そ?ね?》
左耳にさしたイヤホンから、ホラーゲームで遊んでいる博ツキくんの声が聞こえる。
画面を直視するのがこわいのもあるけど、今日はゲームに集中するという気分じゃなくて、がやがやと話し声が聞こえる教室のなかで、自分の席に寝そべった。
「はぁ…」
「推しの動画見てるわりに、元気ないじゃん。どうしたの?」
「あかね~。どうしたら帝さんを落とせるのかなぁ~…」
「は?」
休み時間で主が不在の前の席を乗っ取った茜が、イスの背もたれにひじを乗せながら くいっと眉を上げる。
それとは対照的に半目で見られて、しんらつな反応をする友だちに すこしほおをふくらませた。
《うわぁぁぁっ!びっくりした!急に出てくるのやめよう!?》



