Gold Night ―退屈をもてあました男は予言の乙女を欲する―



 扉の向こうからくぐもった帝さんの声が返ってくると、私は「失礼します」と扉を開けて、支配人ルームへ入った。

 絵画(かいが)生花(せいか)、アンティークなデスクに たな など、部屋の見栄(みば)えをよくしている上品な装飾(そうしょく)調度品(ちょうどひん)は、先代の名残(なごり)だと聞いたことがある。

 ごてごてと かざりつけていないのに、四方八方(しほうはっぽう)から高級感がただようこの部屋を見ると、先代がドロップハートを生み出した とんでもない人だとは思えない。




「なんの用だ?」




 ひさしぶりに見た支配人ルームの内装に見惚(みほ)れていると、書類がぎっしりと詰まった たなの前に立っていた帝さんに話しかけられて、はっと我に返る。




「あ、えぇと、廉さんにちょっとあいさつしてきな、と言われまして…おはようございます。いや、こんばんは…?」


「…あぁ」



 仕事用のあいさつじゃなくて、時間帯に沿()ったあいさつがいいのかな?と考えなおして言い()えれば、帝さんは無表情でいつもどおり答えてくれた。

 にこ、と笑いかけると、部屋のなかに ちんもくが落ちる。

 …こ、ここからどうしよう。